メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 2574 Oct/10/2009

「アルカーイダの健在と対テロ戦争の失敗」

親アルカーイダのロンドン日刊紙クドス・アラビー(Al-Quds Al-Arab)の編集長アブドルバリー・アトワン(’Abd Al-Bari ‘Atwan)は9・11の8周年に、「20周年のアルカーイダ」と題する論説を書いた。彼はこの中で、対テロ戦争開始後8年目のアルカーイダの状況を論じた。彼はこう書いた。「アメリカの愚かさと、その失敗した戦争」は元来地域組織だったアルカーイダを強力な世界的パワーに変えた。

アルカーイダは今支部組織━親組織よりも強力で危険な支部組織━を世界中に持つ。アトワンはまた、アルカーイダがこのところ西側で大規模な作戦を行っていない事実を指摘し、こう述べた。これは単に、アルカーイダが現在アフガニスタンとイラクで、西側とアメリカの数十万の軍隊に容易に接近できるためだ。

また、注目されるのは、この記事がジハード主義ウエブサイトにも転載されたことだ。

以下は、この記事の抜粋である。

「対テロ戦争は失敗した」:今日、アルカーイダは、たぶん親組織よりも強力で危険な新しい支部組織を持つ

「今日、つまり(9・11の)ニューヨーク襲撃8年後のアルカーイダの状況、そして同組織が(西側世界に)及ぼす危険の大きさに関し見解は分かれている。(9・11テロは)アフガニスタン侵略からイラク占領に至る「対テロ戦争」を引き起こした・・・確実に言えるのは、アルカーイダが弱体化したと言う者たちは、願望を(表明しているに過ぎないこと)、また、彼らのテレビ・プログラムと新聞記事で、これまでうまく売り込むことが出来た(アルカーイダに関する)曖昧さと欺瞞を繰り返そうとしていることだ。事実は、アルカーイダが依然健在で、(結成)20周年を祝っていること。これが証明するのは、対テロ戦争の失敗だ。

「8年前、アルカーイダはひとつのアドレスしか持たなかった。アフガニスタン(東部の)のトラボラの洞穴だ。今日、アルカーイダは(親組織そのもの)よりもたぶん強力で、危険は、幾つかの支部組織を持つ。これらは、アラビア半島のアルカーイダ、イスラム・マグレブ(のアルカーイダ)、イラクにおけるアルカーイダ諸支部、パキスタン・アフガニスタン国境地帯の諸支部などだ。また、ソマリア支部が再結成され(同国のアルカーイダ勢力は)以前よりも強力である。アルカーイダは今や、多くの頭を持つ神話のドラゴンとなった。ひとつの頭が切断される時はいつでも、その場所に幾つかの(新しい)頭が現われる。

「(8年前)米国がアフガニスタンを占領した時、一部の者たちは(アルカーイダを)完全に排除したと考えた。なぜなら、その戦士と指揮官の大半は、殺され、逮捕され、あるいは(アフガニスタンから)追放されたからだ。しかし、事実はこうだ。アルカーイダは確固たるアフガニスタンの砦に復帰し、同国で訓練キャンプを設置し、(新たな)ボランティアを惹きつけている。同一のことがイラクでも起きた。アメリカの将軍(デービッドDavid)ペトレイアス(Petraeus)は、米軍のサージ(増派)とサフワ(覚醒)勢力の設立後、いわゆるスンニー派トライアングル(つまり、アンバール県とその周辺部)でアルカーイダの背骨がくじかれたことを祝った。(しかし)現在(アルカーイダは同国で)再編成している・・・そして、(2009年8月19日)イラクの6つの省(ビル)と、グリーン・ゾーンのど真ん中の国会議事堂に対し破壊的な攻撃を行ったと犯行声明を発表した・・・

「アルカーイダは1984年(原文のママ)※1(ソマリア首都)モガディシオでブラックホーク・ヘリを撃墜し、その乗員ら18人を殺害し、アメリカ軍に対する軍事作戦を開始した。しかし、現在シャバーブ・イスラーミ(Shabab Al-Islam)(原文のママ)※2(の扮装で)ソマリアに戻り・・・西側政府と治安機関にとって主要な懸念事となった」

アメリカの愚かさのせいで、アルカーイダは今や世界的組織となった

「アルカーイダは元来地域組織として出発し、その目標は限定的で、慎ましやかだった。第一に、いわゆる『クウェート解放』のためにやってきたアメリカ軍をアラビア半島から駆逐することが目標だった。しかし、アメリカの愚かさと、アフガニスタンとイラクにおける戦争の失敗、さらには、アラブ人とムスリムに屈辱を与えようとした前(ブッシュ)政権のせいで、アルカーイダは世界的な組織になった。

「米国とその西側同盟国は現在、消耗戦争に直面している。その金銭と生命のコストは、歴史上、過去のいかなる戦争よりも高額である。さらに重要なのは、(この戦争が)勝つことが全く不可能であるということだ。8年前、(権力から)引き下されたタリバンは現在、アフガニスタンの3分の2をコントロールしている。一日たりとも、北大西洋条約機構(NATO)軍に多くの犠牲者が出ない日はない・・・

アルカーイダは現在西側で主要な作戦を行っていない。それは、アルカーイダがアフガニスタンとイラクで容易に米軍に接近できるためだ

「アルカーイダは(最近)西側で大きな作戦を実行していない(理由は)、これが(アルカーイダの)トラボラ“共和国”の日々に、そうであったような最優先事項ではないからだ。(今日、アルカーイダは)戦士をニューヨーク、ロンドン、マドリードに送る必要がない。というのは、アフガニスタンにいる10万の西側軍の半分はアメリカ人であり、また、イラクには14万人のアメリカ軍がいるからだ・・・

「アメリカのアフガニスタン、イラク侵攻後の情勢変化の中で最も重要なのは、アルカーイダとタリバンがパキスタン、イエメン、イスラム・マグレブでパワーを得たことだ。(留意すべきは)パキスタンが核プログラムを完成させていることだ。イエメンはアラビア半島におけるアルカーイダの基地になった。これが意味するのは、アルカーイダが(現在)西側のライフ・ラインである湾岸の石油産業を脅かしていることだ。次にイスラム・マグレブにおけるアルカーイダ支部の存在だが、これは(同組織が今や)欧州の3000万ムスリムのすぐ傍にいることを意味する。しかも、欧州のムスリムの一部は人種差別主義、失業、社会からの疎外に苦しんでいる。

「アルカーイダは中東内の新たな権力となったが、それは伝統的なアラブとイスラム勢力の衰退、弱体と腐敗のためだ・・・(アラブ人はアラブ)諸政権の無力と腐敗にいらだちを強めている。この結果、イスラエルに対し大規模な作戦がひとつでも起きれば、アルカーイダの人気は(かつてなく)高くなりうる・・・実際のところ、アルカーイダのオリジナルな指導部は老齢化しつつある・・・しかし、アルカーイダ指揮部の新たな世代は一層危険であり、一層過激化しよう・・・」

インターネット、フェイスブック、ユーチューブなどの最新メディアのおかげで、アルカーイダは世界中の、広範な視聴者に訴えかけることができる

「アルカーイダのイデオロギーは、世界的な(イデオロギーに)なり、独立性を次第に増している。インターネット、フェイスブック、ユーチューブなどの最新メディアのせいで、アルカーイダは世界中の、広範な視聴者に訴えかけることができ、多くの支持者と志願者(を惹き付けることが)できる。いわゆる(アルカーイダ問題の)エキスパートはこれを把握できなかった。これらエキスパートの報告と推薦は、彼らの政府を喜ばせることを目的とし、実際の事実を反映していない。

注:

[1]ブラックホーク・ヘリの撃墜は1993年に起きた。

[2]これが言及している組織は、たぶんシャバーブ・ムジャーヒディーン(Shabab Al-Mujahideen)である。


 

 

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