メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 2622 Nov/1/2009

パキスタンはアフガン・タリバンとアルカーイダを支援するな
―アフガン人ジャーナリストの声―

 アフガニスタンの著名評論家キアム(Masood Qiam)が西側に向けて発信し、自分達の利益を考えるだけでなく、アフガン人民のニーズにも配慮して欲しい、と訴えた。

 アフガニスタンのMobyメディアで頭角をあらわしてきたキアムは、調査リポートのため命を狙われ、現在国外に居住している。

 この記事は、アフガンのウェブサイトkabulpress.orgに掲載され、そのなかでキアムは、パキスタンの情報機関がアフガニスタンでタリバンの存在を守り、一方西側はアフガニスタンを戦場としか考えていない、と批判した。以下その記事内容である※1。

米・NATO軍はアフガンからアルカーイダとタリバンの排除に努め、パキスタンは彼等の保護に躍起になっている

 アメリカとNATO軍は、アフガニスタンからアルカーイダとタリバンを排除しようと懸命になっているが、一方パキスタンはアルカーイダとタリバンの保護に躍起になっている。先週ヌリスタン州のアフガン・パキスタン国境域で、米軍が攻撃された。この1年間で最も激しい攻撃であり、米兵8名が死亡した。まさにそれは、パキスタンの秘密機関が計画、差配した戦闘形態であった。諸外国政府が増派を躊躇することを特に狙った攻撃法である。

タリバンはパキスタンの完全統御下にないが、同国から情報と財政支援を受けている

 タリバンは、パキスタンに完全統制されているわけではない。しかしタリバンは、パキスタンの軍情報機関の情報を利用し、パキスタンに財政支援をうけている。例えば北部駐留のNATO軍が攻撃され、派遣部隊の撤収を議論している独、伊、仏といった国の兵隊が狙い撃ちに殺されている。そのアイデアを植えつけいるのがパキスタンである。NATO自体のアフガニスタン撤収を強要するため、一段とこの機構に圧力を強めている。

 陽動のようにみえるかも知れないが、パキスタンはスワト峡谷に侵攻してタリバン兵を多数殺傷することはしなかった。タリバンと真剣且つ積極的に戦っていることを、西側に納得させていない。パキスタンは、自国領にタリバンが存在しないことを願うだけなのである。パキスタン政府は、アフガニスタンのタリバンを殺さない。殺すのはパキスタン内のタリバンだけである。

アフガン・タリバン支援で得するパキスタン政府

 パキスタン政府は、アフガニスタンのタリバンを支持して得をする。タリバンが兵力を増して戦力をつけると、彼等はパキスタンの命令に従わぬようになってきた。例えば、アメリカが、タリバンにオサマ・ビンラーディンを引き渡せと要求し、パキスタンがこれを支持した時、タリバンは従わなかった。だが、たといアフガン・タリバンがパキスタンの命令を半分しかきかないとしても、関係はこわれない。パキスタンはタリバンの完全統御を望んでいない。しかし自国の得になるように統御できることが、肝腎なのである。

パキスタンのアフガン・タリバン支援には副作用あり

 頭痛薬に副作用があり、服用すれば体のどこかに悪影響を及ぼすように、パキスタンがアフガン人にタリバン化をすすめること自体、パキスタン内で副作用を及ぼす。アフガニスタンを反乱状態におくことが、国境域の安全保障の一環なのであるが、そうするためには、国境域に居住する住民が、過激派戦士になるようにすすめなければならない。そして、この地域の騒乱・暴力がパキスタンの地にスピルオーバーしてくる。

アフガニスタンの戦場視こそ根本問題

 外国部隊の増派は、タリバン排除のため駐留している部隊の助けにはなる。しかし、アフガニスタンの完全修復にはならない。そもそもアメリカやヨーロッパ、いやアフガニスタンの指導者すらも、アフガニスタンを国家として認識せず、戦場と考えている。これが根本的な問題である。彼等は、己れの政治課題を中心にして、戦略を組立てる。アフガニスタンの国民の安寧は二の次である。社会的にひどい紛糾状態にある国では、道義を考えるのが大切ではないか。

ムジャヒディンとタリバンは犯罪組織

 アフガンの有象無象の政治家達は、外見上タリバンではないが、心情的にタリバンを支持している。アフガン政府は、タリバンと直接話ができない。今後もそうである。しかし我々は、この腐敗した指導者達を政府から排除することはできる。我々が道議にもとづいて行動するならば、ムジャヒディンとタリバンは国民の支持をとりつけることができないし、アフガン国民は、政府機構から犯罪者を駆逐しなければならぬことに気付くであろう。パキスタンの政治家達は、アフガン人民同士を戦わせることに腐心する。我々は、我々に同士討ちを仕掛ける手掛りを、無くさなければならない。

 これは、国際社会の支援を得て初めて可能になる。アフガニスタン国民は、単独ではできない。治安と安定は、連立政権の成立で短期的には維持できる。我々は問題を根っこから見なければならない。ムジャヒディンとタリバンは政党の役まわりを演じているが、双方とも政党に類せず、この30年間戦争犯罪を重ねてきた犯罪組織である。アメリカのオバマ大統領は、転換のための道義を考えなければならい。そして国際社会がパキスタン政府と交渉しなければ、タリバン問題は解決しないまま続いていくだろう。

※1 2009年10月23日付www.kabulpress.org (アフガニスタン)。原文は英語、正確を期すため語句を少し修正してある。


 

 

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