2010年6月30日付仏日刊紙フィガロのレポートによると、サウジアラビアのアブドッラー国王は、フランスの国防相Herve Morinにこう語った。「世界には存在するに値しないイランとイスラエルという2つの国家がある」。このレポートは、フランスの外交・軍事消息筋(複数)が確認している。※1
サウジ政府高官は、国王がこうした発言を行ったことはないと否定し、フランスの日刊紙は情報源の名前を挙げなかったことを指摘した。同高官は、サウジのポジションは明白で、曖昧ではないと付け加え、主張を取り下げるようフィガロ紙に呼びかけた。※2
オンライン日刊紙Elaphは2010年7月3日、アブドッラー国王が7月11日に予定されたパリ訪問を延期したと伝えた。この訪問は数年前、フランスのジャック・シラク元大統領が2006年サウジを訪問した際に計画されたもの。各種報道によると、アブドッラー国王は仏大統領ニコラス・サルコジと会見し、大統領と共に、ルーブル美術館のサウジアラビア展開幕を行う予定だったという。※3
サウジのメディアはフィガロのレポートに猛反発し、間違った、捏造されたレポートと呼ばわった。また、このレポートは、アブドッラー国王とサウジ政府の周知の見解と行動と合致しないと主張した。
以下は、2つの記事の抜粋である。
ワタン紙:フィガロのレポートは虚偽である
サウジの日刊紙ワタンの論説「フィガロの失墜」は、仏日刊紙が、アブドッラー国王の周知の立場を完全に無視し、間違った主張を報道したとして、こう非難した。「フランスのフィガロのような尊敬すべき国際紙が、ひとつの発言をアブドッラー国王のような世界的な高貴の人物が行ったとし、(、そしてこの発言が)すべての論理、事実、真実と完全に矛盾する時━この(発言)報道は捏造か虚偽に過ぎない。これが意味するのは、この新聞のプロフェッショナルな基準が危険にさらされているということだ。ジャーナリズムの基本のひとつはレポートの基礎を(信頼できる)取材源に置くこと、そして、この原則がとりわけ義務なのは、フィガロの過った主張のように、レポートがユニークで重要な時だ・・・
「あらゆるフォーラムで平和を呼びかけている国王、そして、全ての人が、彼の文明間和解のイニシアチブを知っている国王が、そうした発言をするなんてありうるだろうか。偏見を抱いた情報源━この情報源が実際に存在するとして、そして、このこと自体が問題なのだが━からフィガロ紙に達した上記レポートは、アブドッラー王と(彼の)政府の周知の政治的方向性、原則、立場に符合しない。このレポートが正しいと証明されるまで、フィガロ紙は、このレポートを疑わしいと見なし、偽りと扱ってしかるべきだった。というのも、このレポートはとりわけ、ある人物に関して知られていることと矛盾し、また、この人物の知られた立場と、ひとつの問題に対する(彼の)国家の立場と戦略の急転換を意味しているからだ。(しかし)フィガロ紙は(そう)しなかった。(その代わり)そのプロフェッショナルな(振る舞いに関しては)怠慢であり、ずうずうしくも、国王がこの偽りの発言を行ったと主張した。
「国王とサウジ政府のイランとイスラエルに対する立場はよく知られている。イランに関するサウジの立場はイスラムの善隣(に基礎を置きながら)イランが国際社会と協力する必要を(強調する)。サウジのイスラエルに対する立場は同様によく知られており、明快だ。アラブの和平イニシアチブがテーブルに置かれているが、その状態は無期限には続かないという立場だ。(そこで)フィガロ紙はなぜ、これほど下落したのか。謝罪が誠意のサインとなろう。一方で、沈黙は強情と悪意のサインとなろう。フィガロ紙が選択するオプションは同紙の真実の顔を(明らかにするだろう)。※4
シャルク・アウサト紙編集長:報道はアブドッラーの米国訪問を妨害する試みだ
シャルク・アウサト紙の編集長ターリク・アルフマイド(Tariq Akhomayed)は同様に、アブドッラー国王が上記の発言を行った可能性を拒絶し、この発言は国王のスタイルと立場と合致しないと指摘して、こう述べた。「(アブドッラー国王は)皇太子としてリヤドとテヘラン間の和解を導いた人物だった。そうした人物が、このようなレトリックを使うなんて想像できようか」。アルホマイドはこう付け加えた、フィガロ紙のレポートのタイミングはアブドッラー国王の訪米とオバマ大統領との会談に極めて接近してことから、このリークの背後にはイランとイスラエルが存在していたこと、また、このレポートが、アブドッラー国王とオバマ大統領の和平の問題協議への対応(策動)として現われたことを示している、と。※5
サウジ日刊紙の漫画
漫画家:ジハード・アワルタニ(Jihad ‘Awartani)
ワタン紙(サウジアラビア)2010年7月4日
注:
[1] Le Figaro (France), June 30, 2010.
[2] www.spa.gov.sa, July 1, 2010.
[3] www.elaph.com, July 3, 2010.
[4] Al-Watan (Saudi Arabia), July 3, 2010.
[5] Al-Sharq Al-Awsat (London), July 3, 2010.