メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
中東報道研究機関




前のページ
前のページ
プリンターフレンドリー
プリンターフレンドリー


THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 6728 Jan/10/2017

イランの対シリア行動はナチに酷似
―クードス部隊指揮官のアレッポ巡察写真に怒る反体制派―

シリア政府軍とその同盟軍は、シリア反体制派の主要残存拠点のアレッポ東部域を包囲、砲爆撃を加え、遂に同地を制圧した。それから数日後、イランの新聞が、イランのクードス部隊司令官ソレイマニ(Qassem Soleimani)の写真を掲載した。イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)の一部としてシリアで戦闘しているのである。写真は、破壊された市街地を巡視している姿である。背景には、中世時代の城砦も見える。

この写真は、抵抗枢軸(イラン、シリア政府を中心とする勢力)の反対派(所謂反体制派)を激怒させた。彼等はこの写真を、アレッポがイランによって占領された証拠とみなし、イランがほかのアラブ諸国特に湾岸諸国の都市占領を狙っている合図と考えている。アラブ諸国とりわけ湾岸の新聞は、ソレイマニを現代のヒトラー≠ニ呼び、世界は彼をとめようとしていない。世界はヒトラーをとめず、ほかの虐殺もとめなかった。同じことが今起きていると主張している。


アレッポを巡察するソレイマニ(Qasemsoleimani.ir, December 16, 2016)

次に紹介するのは、アレッポのソレイマニ写真に対するアラブ紙の反応である。

中東諸都市の占領意図を示唆するイラン

ロンドン発行アラブ紙Al-Sharq Al-Awsatのアルマジッド(Hamad Al-Majed)は、次のように主張する。サウジ人コラムニストである。

「ここに、カッセム・ソレイマニ将軍の有名な写真がある。人影のない残骸のなかを闊歩する姿である。自分の部隊が破壊し住民を殺戮し追放したアレッポを、巡察しているところである。その写真は、イランがメディアに流した大々的プロパガンダである。そこには沢山のメッセージがこめられている。勝利で高慢になった軍人が、昨年我々はバグダッドを初めとしてイラク諸都市を解放し、その後(イエメンの)サヌアをおとし、更にベイルートを手にした。そして今日、我々はアレッポを解放している。(我々が)シリアのほかの都市をばらばらにするのは時間の問題である。中東のアラブ諸都市をおとし、その残骸の中を悠々闊歩する余の姿を早晩見ることになる≠ニ言っているようである…」※1。

レバノン紙Al-Mustaqbalは、レバノンの親サウジ、反アサド派に属するが、そのコラムニストであるアル・フセイニ(`Ali Al-Husseini)は、次のように論じる。

「2日前、イランの拡張計画が明らかになった。それは、(シリアの)アル・クサイル、アル・ザバダニ、そして(ヒズボラが占領した)マダヤに到達し、現在アレッポまでひろがった。(この計画で明らかになったのは)、IRGC(クードス部隊)指揮官カッセム・ソレイマニが、アレッポ周辺を闊歩している姿であった。配下の部隊が破壊の限りを尽くして廃墟と化した通り、子供達を殺し、そして住民の死体が散乱するなかを、歩く姿である。住民にとって胸の張りさけるような写真であるのは、間違いない…。

昨日ソレイマニは、(アフガン、パキスタン、イラクの)雇兵の助けを借りて、アレッポ住民の死体や血だまりを踏み越えて歩いた。孤児となった子供達の無念を無視し、平然として歩く。この写真が、子供達の心に復讐願望を生みだし、その心に火をつけて(アレッポへ)戻る誓いをたてたのである…」※2。

アラブは覚醒し行動せよ―イランが湾岸諸国を狙っている

サウジ紙Al-Watanのコラムニスト、アル・セイキ(Saleh Al-Sheikhi)は、イランが次の都市を狙っていることに鑑みて、アラブ人に目覚めよ、 行動せよと、次のように呼びかけた。

「2日前私は1時間程も立ち尽していた。イランの指揮官カッセム・ソレイマニがアレッポ市中を散歩している写真である。それを見ていたのである。そこは最早通りではない。残骸が積み重なり、或いは散乱する所である。私は、湾岸(諸国の)都市を闊歩するソレイマニのおぞましい夢を、懸命に打ち消そうとした…私は、このショッキングな写真に対する社会の反応を探ろうとした。そして、私は悲しい状況を知った。社会は、この写真に反応するどころか、アル・スワイレム(Sheikh ‘Abdallah Al-Swailem)の声明に沸きたち、大騒ぎしているのである。御本人とその周辺の人達に対する尊敬は別として、時宜に適しないことを話題にし、結婚を禁じられている身内の性行為は、礼拝(の掟)より重大性がないと述べ、これが論争に火をつけた。

カッセム・スレイマニが、ほかのアラブ諸首都のことを考えながら、シリアをあるきまわっているのに、こちらでは、朝の礼拝放棄と結婚を禁じられている親族間の性行為について、スワイレムと社会が言い争っている。我々が国民の責任を感じて、今行動しないのなら、一体いつになったら行動するのであろうか」※3。

ソレイマニは現代のヒトラー、世界はヒトラーをとめなかった、現代も同じ

反抵抗枢軸のなかには、ソレイマニを現代のヒトラー≠ニ呼ぶ者もいる。現代史をみると世界は、数々の大虐殺をとめるために行動せず、犠牲者を見殺しにした。同じことをシリアでやっている。同じようにシリア国民を見殺しにしている、と主張しているのである。レバノンの国会議員カッバラ(Muhammad Kabbara、ムスタクバル党所属)は、次のように言った。

「歴史が証明する。アレッポで起きたことは、ナチの焼却炉神話を既に越えているのである。後代の人間は、ペルシア人、ロシア人そしてアサド政権がアレッポ虐殺の犯人であることを、絶対に忘れないだろう。現代のヒトラーであるカッセム・ソレイマニが、アサド(軍の)将校を伴い、ほくそ笑みながらアレッポの被害地を巡察している姿を、絶対に忘れない」※4。

ロンドン発行紙Al-Quds Al-Arabiのコラムニスト(エジプトの元国会議員)ハムザウイ(Amr Hamzawy)も、世界の反応に疑問を呈し、次のように主張する。

「独裁者アサドとそのスポンー役のロシアとイランがシリア人民を殺戮しているのに、世界は沈黙している。何故見殺しにするのか。理由は判っている。我々の悪の世界は、弱者の殺し方を知るのみ。弱者を犯罪者、独裁者の餌食にさせてしまうのである…。

我々の世界は、アルメニア人の虐殺、ユダヤ人の虐殺そして旧ソ連における第二次世界大戦時の2700万人の虐殺を見殺しにし、大戦を終らせるという口実で原爆を2発も日本に落しても沈黙した。このような残忍性に目つぶるのが、世界の基準とすれば、シリア人を殺戮から救うための真面目な行動は、その基準に反するというわけである…兵器産業を独占し、殺戮と流血を一手に引き受けている者に、シリア人民抹殺阻止のための真剣な行動を求めても、無駄。彼等のこれまでの政策と行動に反するのであり、そのような願いは笑止千万というわけである。

1930年代末、英仏そしてソ連の三政府は、戦いを避けるため、そして又それぞれの関心事に固執して行動しなかったことが、ナチスが東ヨーロッパで破壊と殺戮の拡散を可能にしたのではなかったか。ヒトラーは、世界が彼の初期的犯罪に目をつぶったために、そして又アメリカが中立を守ったために、勢力をのばし、攻撃を続け犯罪行為をひろげたのではなかったか…ナチの将軍達が、自分達の兵器で破壊したソ連の都市を巡察する…写真がある。数日前アレッポでとったソレイマニの写真は、そっくりではないか…」※5。

[1] Al-Sharq Al-Awsat(London), December 20, 2016.

[2] Al-Mustaqbal (Lebanon), December 18, 2016.

[3] Al-Watan (Saudi Arabia), December 19, 2016.

[4] Al-Mustaqbal (Lebanon), December 18, 2016.

[5] Al-Quds Al-Arabi (London), December 20, 2016.


 

 

すべての翻訳の著作権はメムリが所有する。
記事の引用の際は必ずメムリの名前を記載すること。

著作権に関する問い合わせはここをクリックして下さい。

ウェブサイト開発: WEBstationONE, ウェブホスティング: SecureHosts.
Copyright © 2001, 2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008, 2009, 2010, 2011, 2012, 2013, 2014, 2015, 2016. All Rights Reserved.