メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 6811 Mar/4/2017

トランプ政権の脅威に備え、軍事・政治的準備を進めるイラン
―対露戦略同盟の形成と、イスラエル対ヒズボラ、パレスチナ戦闘の撃発 ―

2017年2月21日、イランの改革派通信Amadnewsが、イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)の軍事筋の情報を伝えた。イランに対するトランプ大統領の威嚇に対処するため、イランの指導部がおこなった対応準備に関する情報である※1。このIRGC情報筋によると、アメリカが対イラン軍事行動を起す場合に備えて、ロシアとの戦略的関係強化の勧告を、指導部が承認したという。ロシアのイラン防衛と交換に、イランはロシアに経済及び軍事上大きい権益を認める。それは、イラン南部の油田及びペルシア湾へのアクセス権の形をとり、政府と軍は最高指導者ハメネイにこの条件を勧告した。あとひとつの勧告が対イスラエル戦の戦闘正面の活性化である。トランプの関心がイランからイスラエルへ移り、イランに対する圧力がそれるように、レバノンのヒズボラ、ガザ及びウェストバンクの抵抗組織の反イスラエル活動を強化する。この勧告は既に実施中である。

Amadnewsは、この一連の勧告実施に伴なう代償について触れ、勧告がイランのイスラム革命の目的、革命の祖ホメイニ師の精神に反すると指摘し、ホメイニ師はアメリカ、ソ連いずれのあとを追わない、即ち、どちらにも組せず独立独歩の道を進むと主張した筈である、と報じた。

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Amadnews.com, February 21, 2017.

次に紹介するのは、Amadnews.comの記事内容である。

軍情報筋がAmadnewsに語ったところによると、アメリカの新大統領トランプが及ぼす脅威に対処するため、秘密協議が行われ、イランの意志決定者達が、(イランの)国益に反する重大決心について、話合った。

この軍情報筋によると、「アメリカの新大統領が及ぼす脅威に如何に対応するか」を課題として、何度も検討が実施され、その結論が最高指導者(ハメネイ)に送られた。意思決定者達は、大きい問題について検討した。即ち、アメリカ大使館の再開は可能か、である。答がノーであれば、強まるアメリカの脅威を、如何にすれば弱めることができるか、手をこまねいていれば、その脅威は、相当な軍事対決に発展する可能性がある。

政府、治安及び軍の専門家達がそれぞれ意見を述べ、検討の結果、次の結論に到達した。

1)イランはアメリカ大使館の再開やアメリカと関係正常化問題に触れない。

2)その代りイランは、ロシアとの戦略的結びつきを強化すべきである。そうすれば本格的な戦闘が生起した場合、ロシアがイランをアメリカの脅威から守ってくれる。(ホメイニ宛の)報告によれば、イラン・ロシア関係の深化には、多くの方法がある。検討会では、ロシアとの戦略同盟が勧告され、三つの重要勧告が最高指導者に対して提示された。

専門家チームの勧告第1は、南部イランの油田、油井の利益、開発、生産をロシアに認めることである。この勧告によって、ロシアは年に少なくとも500億ドルの利益を得る。クリミア問題でロシアはアメリカから制裁をうけているが、この利益によってロシアは少なくとも制裁に起因する経済危機を回避できる。

勧告第2は、ロシア多年の夢、即ち南への出口確保をかなえさせることである。専門家チームはペルシア湾へのアクセスをロシアへ与えることを、勧告した。そうすれば、アメリカがイランを攻撃した場合、ロシアがアメリカの強大な海陸戦力から、イランを守ってくれる。

ロシアは1世紀以上もペルシア湾の暖かい海≠ヨのアクセスを求め続けてきた。しかしイランは、ロシアのイランへの浸透と影響力拡散を恐れて、アクセスを認めてこなかった。もしロシアがペルシア湾にプレゼンスを確立すれば、南イランの諸湾をコントロールすることになり、アメリカの厳しい制裁にも拘わらず、ロシアは経済的繁栄を享受できる。

ロシアは、既にイランのハムダンにある軍事基地(Noje)に使用権を認められ、ロシアはシリアにおける軍事プレゼンスに利用している。この基地使用は、イランの意志決定機関の頭越しに最高指導者(ハメネイ)の直接命令で認められた。

勧告第3は、ヒズボラ及びパレスチナ諸集団とイスラエルとの戦闘にかかわるもので。今後イスラエルが戦闘する事態になれば、イランに対する圧力をそちらへ転換できる。この方面への対応に忙しくなり、反イランで結束するのが困難となり、或いはグローバルな反イラン世論の形成が後退する。レバノンのヒズボラとイスラエルとの戦闘再開、イスラエルとパレスチナ諸集団との戦闘は、イランに対する世界の注目を完全にそらし、イスラエルが対象になる。このような戦争は、トランプが対応をせまられる中心課題になる。

昨日(2月20日)、ヒズボラのナスララ書記長が、イランの(国営テレビ)第1チャンネルによるインタビューされ、パレスチナ会議(パレスチナ・インティファダ支援国際会議)が、最高指導者も出席して開催された。この二つのことは、専門家チームの勧告で、起きたのである。

Amadnewsの記事は軍情報筋の情報を要約し、ホメイニ師の指示から逸脱しているとして、イラン指導部を批判している。アメリカに率いられた西側ブロックとソ連の主導する東側ブロックのどちらにも組せず政治的独立を貫くという政策のことである。記事は続けて次のように主張している。

権利を与え、その交換に軍事支援を確保すれば、ロシアは軍事的にイランの味方になる。しかしそれは大問題である。イランがどの国とも戦争をしなければ、或いは戦争にまきこまれなければ、ロシアは一旦手にした権利を戻すであろうか。更に又、1979年の革命とシャー体制の打倒時人民のスローガンのひとつは、「東でも西でもない…あるのはイスラム共和国のみ」であった。これにどう答えるのであろうか※2。

※1 Amadnews.comは、2009年の緑の革命時逮捕され或いは脅迫されたジャーナリスト達によって創立された。2009年6月の大統領選挙の結果はでっちあげ、と主張した人々である。このジャーナリスト達は、透明性のあるニュースを発行し、イラン政権の腐敗を自白のもとにさらし、イラン人民がその権利を手にする迄、緑の運動を続けるとしている。Amadnews.com/about-us、Februarys 21. 2017.

※2 Amadnews.com, February 21. 2017


 

 

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