メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 6855 Apr/6/2017

対IS 共闘をアサドに提案したトランプ大統領
―アサド政権とヒズボラに近いレバノン紙編集局長が明かす―

2017年3月30日、アメリカのティラーソン国務長官が、(シリアの)アサド大統領の長期の地位は、シリア国民によって決められる、と発言した※1。このコメントの後、アサドとヒズボラに近いレバノン紙Al-Akhbarが、編集局長アル・アミン(Ibrahim Al-Amin)の記事を一面トップで掲載した。ティラーソンの発言は驚くことではない。それは、その前に、下院議員ギャバード(Tulsi Gabbard, D-HI)が2017年1月中旬にアサド大統領と会った際トランプのメッセージを既に伝えている、という内容である。アル・アミンは、シリア政権の立場を反映する情報を、リークの形で受けとったようあるが、そのアル・アミンによると、ギャバード議員がアサド大統領と会った際、トランプとの電話会談の可能性について打診したところ、アサドはイラン及びロシアと協議することなく、すぐに同意した。

アル・アミンは、ギャバードがトランプの意向をいくつか伝えた。第1、トランプはアサドの排除よりIS(イスラム国)の駆逐を最優先し、この件でアサド政権と協力して対処したい。第2、イラン自体テロ組織と戦っている。第3、シリアとの直接的関係とシリアの要望に従った制裁解除は、時間を要する課題である。

アル・アミンによると、アサドは、前オバマ大統領の命令によってアメリカの秘密工作員がシリア内のテロ組織支援にかかわった証拠を持っている、と下院議員に告げた。

ギャバードのシリア訪問については、ロンドン発行カタール紙Al-Quds Al-Arabiが、2017年1月20日付で、ギャバードがアサドと会見した、彼女はトランプ大統領によって派遣された、と報じている※2。

アメリカの複数のメディアによると、ギャバードの異例ともいえる7日間のシリア訪問は、オハイオ州クリーブランド所在の「経済・社会サービスのためのアラブ・アメリカ・コミュニティセンターAACCESS-Ohio」が、仲介、調整した。センター長のバッサム・ハワム(Bassam Khawam)は、旅行資金を個人的にだしたが、アサドとの連絡については否定した※3。


写真  Al-Akhbarに掲載されたアミンの一面トップ記事

次に紹介するのは、アル・アミンの記事内容である※4。

IS(イスラム国)共闘で電話協議を―アサド政権に対するトランプのメッセージ

シリア国民がシリアのアサドの将来を決めるとするホワイトハウスの声明は、驚くほどのことではなく、昨年秋にその前触れがあった。オバマに代ってトランプがアメリカの大統領に選出される前後のことである。オバマは、2013年夏(政権側によって化学兵器が使用されたとする話によって)シリア政権を向うにまわして軍事作戦をやろうとした人物である…。

ハワイ選出の民主党議員タルシ・ギャバードは、我々の地域における諸事情について、一家言を有している。その声はメディアと権力側で聞かれるが、それは(オバマ)政権の要人達には望ましい声ではなかった。彼女は、当地で実際に起きていることを自分の目で見極めようと決心したのである。そして昨年夏シリアを訪れ現地を見ることを決める…。

トランプが勝利した後、トランプとそのチームは、ギャバードの処遇について検討した。ギャバードと接触している時、彼女にシリア訪問の意図があることを知り、大統領就任まで訪問を延期するように要請した。ギャバードは同意し、11月21日に2人は会った。2時間に及ぶ協議で、トランプは彼女にシリア及びイラク情勢についてたずねた。トランプは彼女の分析に耳を傾け、自分も同じ意見であると言った…

トランプは彼女に、ダマスカスでアサドに会う予定があるかとたずね、その予定であることを知ると、「アサドに伝えて欲しい。私に電話をする気があるか。私は電話をしたい」、「共通課題はISと戦うことであり、私にはアサド排除には関心がない」、「アメリカとの直接関係と制裁解除の二つの問題については、時間がかかる。重要なのは、ロシアとイランとは切り離して、アサドがどこまで我々と協力する気があるかどうかである。その点を確認したい。我々はアサド側寄りに政策をシフトしなければならない。(アサドを)とりこむと役に立つ。この男は自分の役割を果し生残ってきた。現実の問題として考えるなら、ISをうまく処置したいのであれば、我々は彼(アサド)とタッグを組む必要である」とギャバードに伝えた。

プラグマチストのトランプは、オバマ前大統領が中東におけるアメリカの影響力を駄目にしたと確信し、ロシアの影響力浸透と拡大を許した責任はオバマにある、と考えている。そして自分の政府は特にシリア、イラクを中心に中東経営に再度参加しなければならぬ、と信じている。トランプは国内政策対外政策共に変更したいと望んでいる。ロシアとは対決しないが、イランに対する圧力を強めJCPOA(イランの核に関する包括的共同作業計画)については、合意文書は破棄しないが、実質的にキャンセルする。トランプは、ロシアその他と了解に達するのはシリアを通してである、と信じている。

トランプは、ISが誰にとっても主たる脅威と信じ、ISとアルカイダ全支部にサウジアラビア、カタール、トルコがかかわっていると考える。トランプは、イランを憎んではいるが、ISと一番真剣に戦っているのはイランであると確信している。彼は名目的な政策変更を望んでいない。彼が遂行するのは戦略政策で、狙いをIS潰滅にさだめ、アサド排除を含む他のターゲットは無視するのである。彼は、アメリカ国内に沢山の敵がいることを知っている。政党、メディア、情報機関、そして軍の一部も然りである。しかし彼は、 自分の政策を撤回する気はない…」。

アメリカの情報機関員がシリア所在テロリストの支援に関わっている

アル・アミンは、ギャバードとアサドとの会談について、次のように報じた。

「アサドは、馴染みの笑みを浮かべてギャバードを迎え、一行全員と握手し、旅行の様子をたずねた。下院議員は単刀直入に本論に入り、私は事実関係を確認するため、ここにきました。可能な限りシリア各地を視察し、現地の人に会いたい。お願いしたいのは、テロ組織特にISとアルカイダを支援している分子の正確なデータです。私は議会の承認を得てここに来ました。予定では数ヶ月前でしたが、トランプ大統領自身の要請で、延期しました≠ニ言った。

ギャバードは、アサドがシリア情勢を話そうとするのを制して、出発前にトランプ大統領と会いました。大統領からあなた宛のメッセージを託されました。大統領は状況に関する自分の理解の仕方をあなたに説明して欲しいと述べ、そして直接伝えて貰いたいことがあると言いました≠ニ述べた。

アサドはその説明に耳を傾けた。ギャバードは、サウジアラビア、トルコ、湾岸諸国の対シリア政策に関するアメリカ政府の見方について説明し、トランプの最優先課題はテロリズムとの戦いであり、イラン問題について検討した時、イランがISと真剣に戦っていることを知った。トランプ大統領は、シリアとこの地域に関する従来の政策を変えたいと考えている≠ニ説明した。

アサドは、これはトランプと会った時のあなたの印象ですか≠ニたずねた。

ギャバードは、印象とは違います。これは彼の意見なのです。これをあなたに伝えるように、と言ったのです。要するに我々はISとの戦いであなたと協力したのです。トランプは、シリア問題対処上のロシアの洞察力に大変驚きました。彼はシリアに関してロシアと理解しあいたいと願っています≠ニ答えた。

そしてギャバードは、いきなりトランプ大統領があなたに電話したら、電話にでていただけますか≠ニたずねた。

アサドと笑みを浮かべ、これは仮定の話ですか、それとも提案ですか≠ニ言った。

彼女は仮定の話ではありません≠ニ答えた。

アサドはこれはあなた御自身の提案ですか≠ニ再度たずねた。

彼女は、いいえ。トランプ大統領自身がたずねているのです。大統領が私に託したのです。もう一度おたずねしますが、本人が電話をすれば答えていただけますか≠ニ言った。

ギャバードはアサドがすぐに返事したので驚いた。彼は勿論です。私がすぐ出られる電話番号をお知らせします≠ニ言ったのである。

ギャバードはアサドがすぐに返事をしたので驚いたようである。ロシア、イランと協議するためすぐには返事しないだろうというのがアメリカ側の判断であった。正直なところ、モスクの承認なしではアメリカと接触しないと、アメリカは考えていたのである。

ギャバードは、アサドとの会見後、ほかの政府関係者達と会い、アレッポを訪問した。市を離れる前、彼女の秘書に電話がかかり、水曜日に大統領が再度会いたい1日その日をあけて欲しいとの連絡をうけた。アサドが昼食を含めいろいろ会談予定を組んでおり、要望のあったオバマ政権時代テロリスト支援にかかわったアメリカの情報機関々係者の詳細且つ正確な記録を彼女に手渡すということであった。

そしてこれが実際に起きたのである。ギャバードは、シリア出発を水曜から木曜に1日のばした。その水曜日ギャバードは、政府高官達の立会いで、アサドに2回あった。そして政府高官が持ってきたドキュメントとファイルを手渡された。アメリカへ戻った時、追求できる資料を手にしたのである」。

1] Dailymail.co.uk, March 30, 2017.

[2] Al-Quds Al-Arabi (London), January 20, 2017.

[3] Washingtonpost.com, January 26, 2017; Theatlantic.com, January 31, 2017.

[4] Al-Akhbar (Lebanon), April 3, 2017.


 

 

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