メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 6951 Jun/15/2017

真の敵はイラン、イスラエルではない
―サウジコラムニストの主張―

サウジのコラムニスト、アル・アシミ(Musaid Al-Asimi)は、2017年6月6日付サウジ紙Al-Riyadhで、イスラエルを敵性国とみるのはやめ、本当の敵―イランを直視せよ、と呼びかけた。アラブの地を占領している国に対して、友好を呼びかけるのは理屈に合わず、その必要もない。それと同時に、イスラエルを悪魔視するのは論理的ではなく、その必要もない。パレスチナ人自身とアラブ゙数ヶ国がイスラエルと平和を結んでいる時である。敵視する必要はないと書く。一方、「誰が本当の敵か」という問題を詳しく検討していくと、はっきりした結論に到達する。つまり、サウジアラビアに脅威を及ぼし、危険にさらす敵は、イスラエルではなく、イランであり、あらゆる手段を尽くしてその敵を打倒しなければならない、と主張する。更に、名指しはしていないが、カタールについても示唆し、二枚舌でイランを支持するアラブ湾岸エレメントに対する行動も、呼びかけた※1。

写真1


The column in Al-Riyadh

次に紹介するのは、その記事内容である。

「私は、我々が認識しなければならぬ敵の本質について、これまで何度か書いてきた。これも書いてきたが、アラブのなかには、我々に混乱を与え、それをいつも第一に考えさせようとする者もいる。私は、この混乱を生みだす脅しの方法についても、前に書いた。彼等はこの方法を使って、彼等の問題にかかわらせようとする。勿論、物質的政治的支援を確保するためである。

イスラエルの敵性については、理性のある人なら、イスラエルがアラブの土地を盗むギャングであることに疑いを抱く人はいないだろう。しかも、バルフォア宣言に始まり、今日に至るもアメリカの支援を得るなど、国際支持を背景にしての行動である。しかしながら、この敵意は誇張して伝えられる。ユダヤ人は、アラビア半島の南域まで狙っているといった類いの誇張である。それが恐るべきヒステリー状態をつくりだした。混乱を意図する工作で、パレスチナに対する資金援助が山ほど集まり、彼等は大きい国の予算よりも多額の金を手にしたのである。

私は、政治的混乱に首を突っこむ気はない。しかし我々は、パレスチナ人達が既に協定に署名して、彼等に認められた小さい所に定着したと、信じている。(パレスチナ人問題は)彼等の問題である。彼等はこの問題に関して(我々より)専門家であり、その行動の結果については、当事者の彼等が責任をとるべきである。ここで私は問いを発する権利がある。つまり私は、イスラエルに対してずっと警戒、緊張、懸念を抱き続けなければならないのか。イスラエルと元の地主とは平和を結ぶことで、既に合意しているのであり、それでも緊張しなければならぬというのであろうか。

これは、イスラエルに対して友好を呼びかけ、それを誇示するわけではない。勿論、アラブの土地を占領しているのであるから、その国に対して緊張感はある。しかしサウジ市民のひとりとして、パレスチナ自治政府がイスラエルと和を結ぶと既に宣言しており、口先でイスラエルとの闘争を続けている連中も、ガザに戻り、まわりをイスラエルに囲まれていることを充分認識して、そこに住んでいるのである。更に、イスラエルと境界を接する複数のアラブ国家が、既に恒久平和に合意し、調印までしているのである。即ちエジプト、ヨルダンである。イスラエルは、ほかのアラブ諸国については、その政策に從って行動する。

以上前置きが長くなったが、本題に入る。

即ち、敵は誰かである。私が警戒しなければならぬのは、誰であろうか。論理的に考えれば、私に脅威を与え、他者を操作して私に打撃を与える者は敵である。私の目指す方向と対立し、あらゆる方法で私を妨害、阻止し、傷つける者は敵である。兵器と金に目がくらみ、結局は利用されている人達がいるが、その人達にそうやって いる者は、敵である。ハッジ(メッカ巡礼)の時騒ぎを起し紛争をつくりだし、恐怖と問題を煽った揚句、この宗教儀式の執行を妨害する者は、敵である※2。国内やまわりの国でパニックを起し、人種・宗派間の紛争を煽る者は、敵である。以上の状況を考えると、この敵が誰であるか、まだ判断が難しいのだろうか。この恐ろしいことを具現している者が誰なのか、まだ判らないのであろうか。

判らないどころではない。問題は、はっきりしている、そしてその敵は目の前にいる。(敵は)それを公然と語っているのである。左様、我々にとって、我々諸国にとって、イランほど大きい敵が、ほかにあろうか。イスラエルは、イランのように、(我々を)威嚇し、不安にさせ、憎悪と敵意をばらまいているのであろうか。我々は本当の敵にまとを絞らなければならない。ほかの要素と一緒くたにしてはならない。我々はこの敵(イラン)を打倒するため、全力をつくさなければならない。そしてその際肝腎なのは、二枚舌の者(カタール)を、曖昧にしておくべきではないことである。我々の敵の友人は、我々の敵である。たといそれが湾岸のアラブであっても、それに変りはない。

理性的に行動しようではないか。我々の利害に従って行動しようではないか。経済、政治、通商、そして歴史的見通しを考え、利害、損失を計算し、我々の利益と安定を考慮して、行動しようではないか。我々は是非そうすべきである。そうすれば、イランとイスラエルのどちらが我々の敵を我々の打倒のため利用しているのか、これで判る…。

基本をいえば、イマムのアブ・タレブ師(Al Ben Abu Taleb)の言葉(原文タイトル)である。師は「あなたの友人があなたを欺くなら、敵として扱え」、と言われた(カタールを指す)※3。

[1] サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレン、エジプト対カタールの湾岸危機を指す。結局これはカタールとの外交関係断絶に発展した。次を参照:MEMRI Inquiry and Analysis No. 1315, Uproar In The Gulf Following Alleged Statements By Qatari Emir Condemning Gulf States, Praising Iran, Hizbullah, Muslim Brotherhood And Hamas, May 25, 2017.

[2] 次を参照:MEMRI Special Dispatch No. 6607, Following Rafsanjani Call To Moderate Iranian Policy Vis-a-vis Saudi Arabia, Khamenei Delivers Virulently Anti-Saudi Speech, Sparking Increased Conflict With Kingdom , 2016年9月9日、イランのアリ・ハメネイ最高指導者の呼びかけ(聖所管理についてサウジに管理責任能力がないとした)とサウジ側の反論。

[3] Al-Riyadh (Saudi Arabia) June 6, 2017.


 

 

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