メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
中東報道研究機関




前のページ
前のページ
プリンターフレンドリー
プリンターフレンドリー


THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 6957 Jun/21/2017

非難だけでは意味なし。アラブ社会は過激主義、テロと戦え
―ヨルダンコラムニストの直言―

2017年5月26日、エジプトのミンヤ県でコプト派教会がIS(イスラム国)に攻撃され、コプト派教徒約30名が殺害された。この事件をうけて、ヨルダン紙Al-Ghadの議会担当政治記者でコラムニストのアル・マンシ(Jihad Al-Mansi)が、アラブ社会内に拡散する過激主義の横行で社会がお手あげ状態にあると批判。テロ非難に終始するだけでは意味がないとし、テロ撲滅のため具体的方法をとれと論じた。他者に対するテロと憎悪の文化をまき散らす者に、アラブは沈黙してはならないとし、IS(イスラム国)に同情する集団、構成員に断固として対応せよ、と主張した。次に紹介するのは、その記事内容である※1。


Jihad Al-Mansi (image: almayadeen.net)

ラマダン月入りの前日、平和的なコプト派の人達とその子供達が、エジプトの野蛮な過激派組織によって殺害された。このような組織的殺戮事件が発生すると、非難の声があがりはする。しかし非難を続けるだけでは意味がない。サラフィ・テロ組織がシリア、イラク、イギリスのマンチェスター等々の地域でやっているテロに言葉だけの非難に終始しているのも、然りである。日々我々の目の前でひろがっている怠慢に手をこまねき、彼等(テロリスト)は真のイスラムを代表していない等と言っているだけでは、意味がない。この(過激派)集団は、アッラーがシーア派、キリスト教徒その他の宗派に破壊と滅亡をもたらすことを願い、我々は彼等の願望を放任したままである。組織代表によるイスラム乗取りにストップをかけなければ、意味がない。

イラクとシリアで煽動している宗教戦争と同じように、エジプトでも宗教・人種間紛争を煽っている殺人者達がいる。その行為に目をつぶることはやめよう。過激派教理に目をつぶることはやめよう。我々は、その存在が判っているし、それが殺人者の認識を形成しているのも知っているのだ。彼等の大義ではなくて犯罪だけに注目しよう。事件が起きるたびに、非難声明をだすにとどまるのは如何なものか。殺人者共のプロパガンダにストップをかけ、彼等の教唆煽動をくいとめ、その芽をつむ。そして無知蒙昧の人間を殺人者に仕立て、殺戮と不和分裂をひき起すため世界各地へ送り出す者、そのために金をだしリクルートする者がいる。そのような者を一網打尽にする時がきている。

我々は、いくつかの国の素性をよく知っている。彼等は、過激派の思考を支持している。彼等が殺人者をつくりだす教派を援助している。我々は公然非公然にその事実を知っている。殺人候補を確保し、キリスト教徒、コプト派、シーア派、アラウィ派、そしてたといスンニ・ムスリムであろうとも、自分とは見解が違う者すらも殺さねばならぬと頭に叩きこむ。これを知っていながらその国々の言い分を鵜のみにしている。もうやめなければならない。

誰でも知っているが、我々の間に原理主義サラフィ派がまだいる。それに何百何千万ドルもの金が与えられていることも、知っている。そしてそのサラフィは、見解の違うものを異端として非難する。そんなことも判っていながら、武力による制圧はせず我々は非難声明で済ます。このような人間共には、「お前達は、テロと過激主義を支援する」、「お前達は、殺人者を育てる」とつき放して言おうではないか。「平和と安定を求める現代の世界には居場所がない原理主義教派の常套手段によって、物事を切って棄てる」と直言しなければならない。

大洋から湾岸に至る広大な地域にいながら、そこには事実の歪曲、沈黙がみちあふれている。この殺人者共そしてその背後にいる者共にはっきり言おう。派閥主義と社会煽動をやめよ。過激主義支援(を通した)殺しをやめよ。人がほかの人を殺すは許されるという思考をやめよ。女性を捕虜にとり彼女達の権利を奪うことはやめよ。子供達を殺すのはやめよ。我々のアラブ諸国を破壊することはやめよ。

彼等は、(イスラムの) 宗教を歪曲しているという声明をだすだけで、終りにしたくない。我々は明確な立場、はっきりしたコンパス、イスラムの真の姿―我々を何百年も前に戻そうとする宗教ではなく、我々の知る宗教である―の表明を必要とする。女性を快楽の対象としか考えず、キリスト教徒を殺しの欲望の対象にしかしない。我々は余りにも沈黙してきた。不和分裂の種をまく書物を探し出そう。憎悪と過激主義をまき散らすテレビ番組を摘発しよう。例えば何年か前ひとりの説教師がISにいる自分達の兄弟(我々の兄弟ではない)の99%は本物のムスリム信徒である、と言った(2014年1月、シリアの反体制派TVで、サウジ在住シリア人アドナン(’Adnan Al-‘Aro’ur) が、インタビューされて、そう言った)。このような人間が、さまざまなテレビチャンネルを通し、アラブの社会環境のなかで、こんな発言をしている。そしてこれがまだ許されているのである。テレビで彼等に発表の場を与え、彼等はこれを足場にして、アラブの若者達に訴えて彼等のビジョンや世界観を広げているのである。

アラブ世界で毒素をまき散らし、我々の息子や娘達を汚染し、宗教とイスラム防衛という名目で人狩りをする者がひとりでもいる限り、そしてそれを黙認している限り、テロリズムと過激主義と戦うのは無理である。

※1 Al-Ghad(Jordan)、May 29.2017。


 

 

すべての翻訳の著作権はメムリが所有する。
記事の引用の際は必ずメムリの名前を記載すること。

著作権に関する問い合わせはここをクリックして下さい。

ウェブサイト開発: WEBstationONE, ウェブホスティング: SecureHosts.
Copyright © 2001, 2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008, 2009, 2010, 2011, 2012, 2013, 2014, 2015, 2016. All Rights Reserved.