メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 7144 Oct/24/2017

ファタハとの和解の一方でイランと関係強化
―“イスラエルを地図から抹消”と主張するハマス―

2017年10月12日、ファタハとハマスはエジプトが仲介した和解協定にカイロで調印した。この協定によると、パレスチナ自治政府(PA)が、境界検問所を含むガザの完全コントロールを回復する。ハマスの武装組織やガザにいるPA職員の扱いといった複雑な問題は先送りとし、委員会の協議に任せることになった。

ハマスの指導者達は、和解を進める一方で、戦闘的声明をだし続け、ガザとウェストバンクにおける、イスラエルに対するジハードと抵抗(武力闘争)の継続を強調し、ファタハとの合意の一環として武装を放棄することはない、と主張している。ハマスの政治局長シンワル(Yahya Sinwar)は、運動の目的はイスラエルを地図から抹消する≠アとである、と公言している。

更に、2017年10月20日、ハマスの幹部で編成された代表団が、3日間の予定でイランに到着した。この訪問時、ハマスの幹部達は、抵抗の継続とイランとの関係強化を強調した。シンワルはイランをカッサム旅団(ハマスの軍事部門)の主要支援国と呼んだ。

次に紹介するのは、ハマス幹部達が最近だした声明である。

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イランの代表と共に記者会見するハマス代表団(image: alresalah.ps, October 22, 2017)

ハマスはジハードの前衛、目的はイスラエルの潰滅―公言するハマス幹部達

2017年10月19日、ガザを拠点するハマスの政治局長シンワルは、ガザの十代の子供達との会合で「ハマスのイスラエル(に関して話をする)時代は終った。我々の目的はイスラエルを地図から抹殺することにあるから、誰もイスラエル承認の検討はできない」と言った※1。更にシンワルは、カッサム旅団長デイフ(Muhammad Deif)の話を引用し、「敵が我方人民と聖地に対し愚かな攻撃をかけたいと思うなら、我々はその軍を完膚なきまでに叩き潰す」と言った。そして「(デイフが)そう言うのであるから、勝算は充分にあるということだ」とつけ加えた※2。

同じような威嚇は、海外のハマス指導者達も表明している。2017年10月20日イスタンブールの会議で、幹部のサラフ(Maher Salah)は、「ネタニヤフに言ってやる。お前の国は消滅する。お前の王国は抹殺されるのである。お前に約束する。建国100周年など絶対祝えないのだ…我々はシオニストと昼夜戦っている。内外で広汎且つさまざまな方法で抵抗を続けているのだ。2014年の戦争以来ガザは戦闘能力を倍増した。占領者がいつ戦争を仕掛けてきても、我々は対応する準備を整えている。痛い目にあわせてやる。ウェストバンクも目を覚ましつつある。戦闘手段に限度があるにも拘わらず、新しい抵抗法を日々工夫して、我々を驚かせている…」と述べた。

サラフは、更に次のようにつけ加えた。

「ここに出席した人々のなかには、エルサレム征服を、エルアクサの解放を必ず目撃する。そこで礼拝する人もいよう…パレスチナ、エルサレムそしてエルアクサが民族を統一いる。この三つを解放するのは民族の責務である。我々は、ジハードの前衛である…ハマスとパレスチナ人民が抵抗を放棄すると考える者は、己れを欺いているのである…抵抗はハマスの名前の一部である…占領者が存在する限り、抵抗とジハードが…勝利と郷土の奪回と解放の日まで続かなければならない」※3。

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イスタンブール会議で演説するマヘル・サラフ(image: Palinfo.com, October 21, 2017)

抵抗の武器は聖にして名誉、敵に対して使われる

ハマスの指導者達は、ハマス非武装化が、ファタハとの和解の一部として話合われることはないと強調し、その武器はイスラエルとの戦いに使用されると主張する。ガザにおける十代の子供達との話合いで、シンワル政治局長は、次のように強調した。

「ハマス非武装化は、サタンが天国行きを夢見るようなもので、あり得ない願望である。我々は日々武器弾薬の貯備をはかり、戦闘力をたかめている。アッバス議長が我々の武力を背景としてイスラエルと交渉したいのなら、我々は前向きに彼を支援する。そうすれば、パレスチナの大義達成がもっと確実になるだろう」※4。

ハマスの政治局次長アル・アロウリ(Salah Al-Arouri)は、イラン側代表とテヘランで会った後、次のように述べた。

「ハマスは、パレスチナ人民防衛の選択肢を放棄しない。ファタハとの和解がパレスチナの抵抗用武器に影響することはない…我々には我々自身の立場がある。(ファタハ)との違いは脇におかなければならないが、シオニスト存在体に対する抵抗を望む我々の立場を、放棄することはない…抵抗とはそういうものである。武器を放棄することはない」※5。

ハマス幹部のアブ・マルズーク(Moussa Abu Marzouq)は、ロンドン発行カタール紙Al-Arabi Al-Jadidのインタビューで、ハマスの武器の件は、協議対象ではなく、今後も然りであるとし、次のように明言した。

「占領に抵抗するのは、パレスチナ人民の合法的権利であり、いかなる状況下でもハマスがこの選択肢を放棄することはない。占領者が存在する限り、抵抗がなければならぬということである…パレスチナ人民がその権利をすべて奪回する迄、如何なる勢力といえども、パレスチナ人民の抵抗とその選択肢を奪うことはできない」※6。

ハマス政治局員ムシュタハ(Rawhi Mushtaha)は、ハマスの武器とPA武器の機能を区別し、次のように主張する。

「占領者が存在する限り、抵抗の武器は合法的であり、誰も疑義をはさんではならない。国際機関とて然りである。抵抗の武器は聖にして名誉あるもので、敵に対して使われる…一方PAの武器は、治安、つまり住民の生命財務を守るためのものである。二種類の武器の間に矛盾はない。パレスチナ国家が独立すれば、当然我々はひとつの政府、ひとつの行政そしてひとつの軍事力をもつことになる…パレスチナ人民が敵に対して武器使用の権利を持つことは、誰でも知っている」※7。

ハマスとイランの和解―双方が抵抗の責務を称賛

対イスラエル武力闘争を賛美するハマス幹部達の過激発言は、イランとの関係修復を求める声明と対になっている。シンワル政治局長は、「我々が国との関係を断つと考える者は、自分自身を惑わしている。何故ならば、イランはカッサム旅団を助ける最大の支持国であるからだ」と言った※8。10月20日に訪イしたハマスの代表団はアル・アロウリ政治局次長が率い、有力幹部がメンバーとして参加した。アル・リシク(`Izzat Al-Rishq)、ナセル(Mohammad Nasser)、ジャバリン(Zaher Jabarin)、ハムダン(Osama Hamdan)、ズーリ(Sami Abu Zuhri)、アル・カドゥミ(Khaled Al-Qaddoumi)が含まれる。代表団は国会議長ラリジャニ(Ali Larijani)、ハメネイ最高指導者の国際問題アドバイザーのベラヤチ(Ali Akbar Velayati)と会った※9。

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ベラヤチとハマスの政治局次長アル・アロウリ(左)(image: alalam.ir, October 21, 2017)

ハマスの代表団長アル・アロウリは、訪問目的について、「ハマスとイランの関係断続に対応する現実的行動」と言った※10。メンバーのひとりアブ・ズーリは「ハマスとイランの立場の違いは過ぎたことで、関係は元に戻った…今回のイラン訪問は(この国との)関係を維持し抵抗計画を強化するのが目的である」と主張した※11。ハマス幹部アル・ノウノウ(Taher Al-Nounou)は「ハマスはイランと関係を強化したい。友人や同盟者との関係を断つことはない。イランとの戦略的関係強化が大切である」と述べた※12。

一方イランはどうであろうか。ハメネイ師のアドバイザーであるベラヤチは、武力闘争に対するハマスの献身的姿勢を評価し、「我々は、武器の放棄を拒否するハマスの確固たる立場を讃える。武装解除は越えてはならぬ一線である。パレスチナ問題は、ムスリム世界にとって最重要の課題である。時間を無駄にしてきた。この地域の指導者のなかには、妥協に走った者もいるが、ハマスは、シオニストに対する抵抗という原則を堅持している。さまざまな圧力があるにも拘わらず、ハマスはこの原則をしっかり守っている。やがてパレスチナ人の抵抗は、必ず勝利する」と讃え※13、「我々は、抵抗陣営の戦友特にハマスとは、あらゆる機会に友好を深める。ハマスは抵抗の武器放棄を拒否している。我々はこの運動の立場を称讃する」と結んだ※14。

[1] Amad.ps, October 19, 2017.

[2] Amad.ps, October 19, 2017.

[3] Palinfo.com, October 21, 2017.

[4] Amad.ps, October 19, 2017.

[5] Palinfo.com, October 21, 2017.

[6] Al-Arabi Al-Jadid (London), October 19, 2017.

[7] Al-Masri Al-Yawm (Egypt), October 15, 2017.

[8] Amad.ps, October 19, 2017.

[9] Palinfo.com, October 21, 2017.

[10] Samanews.ps, October 21, 2017.

[11] Almayadeen.net, October 21, 2017.

[12] Almanar.com, October 21, 2017.

[13] Palinfo.com, October 21, 2017.

[14] Amad.ps, October 21, 2017.


 

 

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