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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

調査および分析シリーズ


 
Inquiry and Analysis Series No 276 May/20/2006

ブッシュ大統領にイスラム入信を勧めたアフマディネジャド―預言者ムハンマド、ホメイニ師に並ぶ気負い―
A・サヴィヨン

はじめに

イランのアフマディネジャド大統領がアメリカのブッシュ大統領に送った2006年5月7日付書簡は、ホメイニ師が1989年にソ連のゴルバチョフ大統領に送った書簡を、手本にした内容であった。それはまた、1400年前預言者ムハンマドがエチオピアの王を初め世界の支配者に宛てた書簡を手本にしたものでもあり、人類を導く優れて正しい道であるイスラムを受入れよと求めた点も、そっくりである。

自分を預言者ムハンマドやホメイニ師に擬するアフマディネジャド

ブッシュ大統領宛アフマディネジャド書簡は、イスラムに立脚するある種の宗教的文化的世界観を述べたもので、人類を導く正しい道としてイスラムを讃えている※1。この書簡は、宗教的色彩が濃厚で、イスラム入信を勧めるところなど、ホメイニ師と預言者ムハマンドの手紙の内容をなぞったものである。

次に紹介するのは、1989年にホメイニ師がソ連のゴルバチョフ最高会議幹部会議長(当時の肩書)に宛てた書簡概要である※2。

「あなたが成功するには、まず第一に前任者達がたどった道を見直し、修正することです。即ち、神と宗教から離れた前任者達の轍を踏んではなりません。その考え方が、これまでソ連の人民に多大な打撃を与えてきたのです。あなたは、世界の諸問題を解決するにはひとつの方法しかないことを、知らねばならない。貴国の主な問題は、所有形態や経済或いは自由の問題ではない。あなたが抱える主要問題は、神に対する真の信仰を欠くところにある…。

さて、本題に入りましょう。あなたには是非イスラムのことを真剣に考えていただきたい。イスラムやムスリムがあなたを必要とするからではなく、イスラムがすべての人民に慰安を与え救済し、すべての国の諸問題を解決するからです…」。

ブッシュ大統領宛の手紙で、アフマディネジャドは、預言者ムハンマドがエチオピアの王に宛てた書簡で使った同じコーランの章句を使った。

そして、最近インドネシアの首都ジャカルタを訪れたアフマディネジャドは、ブッシュ宛書簡を「イスラム入信を勧める」内容であると言った※3。

アフマディネジャドは、イランのシーア派ムスリム史のなかで預言者ムハマド自身に類似した役割を担うつもりのようである。少なくともホメイニ師に比肩できる地位で、ものを言いたいようだ。シーア派のなかには、ホメイニ師を「隠れイマーム」と考える人が多いようである※4。

次に紹介するのは、ブッシュ大統領宛書簡の概要である※5。

「聖典によれば、我々すべての者は、唯一神を信仰し、聖なる預言者の教えに従うことが求められている。世界中のあらゆる力に超越し、意のままに何でもおできになる唯一神を信仰することである…。

全能の神は、奇跡と明瞭なお告げを持つ預言者を送られた。人々を導き、神のお告げを伝え、そして罪と汚れを清めるためである。そして神は、人々が正義をおこない謀反をさけるように、啓典と天秤を送られた…。

聖なる預言者は、全人類が全能の主の宮に集まり裁きをうける日が来る≠ニ約束された。善をなした者は天国へ導かれ、悪をなした者は神の報いをうける。私は我々二人とも、その日がくることを信じていると思うが、支配者達の行為をかぞえあげるのは、容易な仕事ではない…。

リベラリズムと欧米式の民主々義は、人類の理想顕現には役に立たなかった。この二つの概念は今や破綻した。洞察力のある人々は、ルベラルな民主的システムのイデオロギーと理想が、砕け散る音を聞くことができる。

我々は、世界中の人々が全能の主なる神の許に集いつつある姿を目のあたりにしている。この人々が、神の存在を信じ預言者の教えに従うことによって、自分達の抱えるさまざまな問題を克服することは、疑問の余地がない。そこでお尋ねしたい。あなたもこの人々のなかに加わりたくはないのか。

大統領閣下

我々が好むと好まざるとに拘わらず、世界は全能の主に対する信仰に惹かれつつあり、神の御意志があまねくすべてを支配するであろう。

ヴァサラーム アラマン イッタブア アルフーダ

イラン・イスラム共和国大統領

マハムード・アフマディネジャド

教科書にのせ代々伝えよ―ジャンナティ師アフマディネジャド書簡を絶賛

5月12日、テヘラン大学における金曜説教で、守護評議会書記のアヤトラ、ジャンナティ師はアフマディネジャド書簡を神意≠ナあると評し、「この手紙は、イマームのホメイニ師が歩まれた道の延長線上にある」と述べ、両者の違いについては、「ホメイニ師の手紙は、最高指導者の立場で書かれ、アフマディネジャドの手紙は、大統領の立場で準備された…この手紙は神意である。神は我国の国力増強を望まれており、その神意を明らかにされたのである…※6」とし、更に語を継いで次のように言明した。

「アフマディネジャドは信仰心の篤い勇気の人であり、そのような人物の言葉は耳を傾ける価値がある。大統領は、イスラムと国家の名誉を代表する…(アメリカが)応答するかどうかに拘わりなく、アメリカは傷つく。彼等が応答するのであれば、一体何をどう伝えるのであろうか。応答しないのであれば、それは彼等の弱さと恥をばらすことになる。すべての人を驚倒せしめたこの手紙を、イラン以外一体何処で書けるというのだろう。アフマディネジャドは尊敬に値する人物である…この手紙は子供達全員に読み聞かせなければならない。学校で大学で音吐朗朗と読みあげなければならない。報道機関は繰返しその言葉を伝え、将来は学校の教科書に掲載しなければならない」※7。

ジャンナティは「イマーム(ホメイニ師)がロシア人にあなた方の問題は経済ではなく、アッラー否定に由来する≠ニ言われたが、欧米も完全に行き詰まっている…外面の見せかけだけは偉大だが、アメリカは、腐食、崩壊しつつある」とつけ加えた※8。

アフマディネジャド、ホメイニ同一視に対する内部批判

保守系議員アフラフ(`Emad Afrough)は、以前アフマディネジャドの政策を批判した人物であるが、「この(アフマディネジャド)書簡をイマームの手紙と同一視することはできない。イマームは宗教、道義の最高指導者という立場で書かれたのである…師はマルクス主義政権のさしせまった崩壊を予見し…ロシアの共産主義指導者達に救済の道を提示された…大統領のアドバイザーのなかには、更に一歩進んで、(アフマドネジャド)書簡を預言者の道と比較することすらやった者もいる…」と批判した※9。

※1 書簡内容は、2006年5月9日付IRNA、同日付ルモンド(パリ)を参照

※2 2003年1月30日付 MEMRI SD 463を参照

 http://www2.memri.org./bin/articles.cgi?Page=archives&Area=sd&ID=SP46303

※3 2005年5月11日付 IRNA

※4 アフマディネジャドは2005年9月 国連総会で演説した後ニューヨークより帰国し、テヘランのアヤトラ数名に、「オーラが自分を包みこみ、隠れイマーム≠フメッセージが、自分の演説を聴いている人々に届いているのを感じた」と言った。この隠れイマーム≠フ出現については、いくつかの機会に触れている。

※5 2006年5月9日付 ルモンド

※6 2006年5月13日付 Kayhan(イラン)

  =@ =@14日付 Sharq(イラン)

※7 2006年5月14日付 Sharq(イラン)

※8  =@ =@13日付 Kayhan

※9 2006年5月17日付 Jomhouri-ye Eslami(イラン)

A・サヴィヨンは、MEMRIのイランメディア・プロジェクト長


 

 

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