メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 1199 Nov/6/2015

ロシアのイラク介入をめぐる論争
―対IS戦争におけるアメリカの失敗と失望が背景―

Y・グラフ*

サウジのコラムニスト アル・スウェィダン(Yusuf Nasir Al-Suweidan)はクウェート紙Al-Siyassaに「ケレム・シャロム分岐点の犯罪」と題する論評を寄稿した。これは、2006年6月25日ハマスがこの分岐点(検問所付近)を攻撃し、イスラエル兵ギラッド・シャリット伍長を拉致した事件である。筆者は、この犯罪行為でパレスチナ独立の夢はまた遠のいた、パレスチナ人は銃をおき、エネルギーをパレスチナ社会の建設に注ぐべきである、と論じた。

次に紹介するのは、その論評内容である※1。

すべてが振り出しに戻ってしまった

1960年代、南ベトナムで、ベトコンが米軍のダナン基地へ到達しようとトンネルを掘っていた頃、彼等は自分の故国ベトナムで行動していた。それはまた、米中ソがからむミニ世界大戦の文脈での戦闘行動でもあった。

しかし、同じトンネル戦争でも、パレスチナ人がやっているのは、全く違っている。しかも間違っている。ガザ回廊からケレム・シャロム分岐点に向けてテロリストが掘ったトンネルは、パレスチナの領界から出た地域に達しており、彼等はこれをイスラエル侵透用に使った。独立主権国家で国連加盟国に対する攻撃である。彼等はそこで(イスラエル国内で)イスラエル人2名を殺し、数名に負傷させたうえ、1名を拉致したのである。この犯罪行為は由々しい事態をつくりだしてしまった。つまりパレスチナ人側にマイナスであり、その悪影響は今後もあとを引く。アッバス議長のスポークスマン アブ・ルディナ(Nabil Abu Rudeina)が「すべてが振出しに戻ってしまった」と言っている通りである。

ハマスの勝利声明は馬鹿らしい

テロ組織ハマスとその同盟者そしてテヘランとダマスカスの親分達は、今回の捨てばち攻撃を、イスラエルに対する赫々たる勝利≠ニ宣伝しているが、馬鹿馬鹿しい話である。軍事、政治、経済、その他諸々のパラメーターからみて、イスラエルは相当に優勢である。従って紛争の当事者同士として対等の立場で対峙していると考えるのは、大間違い。とんでもない話である。

イスラエルは今回のケレム・シャロム分岐点攻撃に対して、おとなしい羊の如くに振舞い、人畜無害の反応しかしないのだろうか。もしそう考えるなら、突拍子もない幻想である。この攻撃の直後、分岐点は閉鎖され、イスラエルの部隊が戦闘隊形を以てガザに入ってきた。これは昨年9月のガザ撤収以来最大の軍事行動である。イスラエルの決意は固い。三つの条件がクリアーされなければ、数時間内にガザ回廊へ侵攻するとみてよい。その条件とは、第一に拉致されたイスラエル人の釈放、第二はカッサムロケットの発射中止、そして第三が、テロ組織のインフラ潰滅である。

そしてこのガザ侵攻が実現してしまえば、すべてが振出しに戻る≠ヌころの話ではなくなってしまう。新しい現実がつくられてしまうからである。状況は振り出し地点をはるかに越えて後戻りしてしまう。追放、人口構成の変更等が話し合われ、その計画がすぐに実行に移されるかも知れぬのである。そうなれば、パレスチナ人の国家独立の夢は過去のものになってしまうだろう…。

パレスチナ人に必要なのは食料や薬品、自爆用爆弾や空虚なスローガンは不要 

パレスチナ諸機関がイスラエルのガザ撤収に正しく対応しなかったことに、そもそも間違いがある。剣をうち直してパレスチナ社会の建設に必要な鋤、鍬、ペンに変える必要があるのに、彼等は全く読み違えてしまった。経済開発、文化、社会の発展等が一番大切なのにである。テロ組織は、テヘランの聖職者やシリアのバース(党)政権の資金援助をうけ、それに踊らされながら、撤収をくいものにした。そして(人民は)、川から海までの全面解放≠ニいった空虚なスローガンや妄想に踊らされている。飢えて絶望的な貧しい人民が、腹のたしに全然ならぬ文句を唱えているのだ。今(人民に)必要なのは食料、医薬品、衣服その他生活の必需品なのである。自爆用の爆薬ベルトや、自動車爆弾、そして「おめでとう、おお殉教者よ、黒い瞳の処女達が君を待っているぞ」といったスローガンはいらないのだ。

※1。2006年6月27日付 Al-Siyassa(クウェート)


 

 

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