メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 1227 Aug/6/2006

リビアの改革派知識人のヒズボラ批判エッセイ

カダフィ大佐の息子サイフ・アル・イスラムの友人でイタリア在住のリビア人知識人アル・フーニ(Dr.Muhammad Al-Huni)は、最近リベラル派のサイトElaph.comに一連の反ヒズボラ記事を掲載し、イランとシリアの権益に奉仕する存在として、ヒズボラ、ナスララ書記長を批判した。以下その記事内容である。

7月16日. 南レバノン“解放者”はレバノン支配者の走狗

ハサン・ナスララは、南レバノン解放後、郷土占領政権と戦ったアラブの英雄として、歴史にその名を残し得たかも知れない。かも知れぬとは、彼が占領者をレバノンから駆逐したらという前提がつくからである…。

しかしヒズボラは、レバノン人民の名を借りながら、解放を目的とする英雄的闘争という名を借りながら、イランとシリアの抑圧政権に奉仕しているのである。(イスラエルの南レバノン撤収後の)一連の事件がこの事実を暴露した。そして、ヒズボラの最近の行動が、その一番の証明である…。

ナスララはいくつかの勝利に酔い痴れ、自分は一民兵隊の親分ではなく重要民族の指導者と、すっかり勘違いしてしまった…。

ナスララとその民兵隊は、レバノン国旗ではない旗を捧げ持ち、レバノン国歌ではない歌をうたい、レバノンの国権、国家目標ではない権益と目的を有し、レバノン国軍のものではない武器弾薬を備蓄、使用し、レバノンの敵に奉仕するだけのことしかしていない…。

レバノンにおけるシリアのプレゼンスを守ってきたのがナスララである。彼だけではなくアラブ人全員が、シリアのプレゼンスはレバノン人民に対する支配であることを、百も承知なのである。シリアのギャング政権は、自国人民を弾圧、搾取し、今度は(レバノン)人民を支配し、収奪している。ナスララはその強盗政権の守衛役として走りまわるのである。ナスララとその民兵隊は、イランの資金で動きながら、ハマスのような民兵隊の存在に気付き、被占領(パレスチナ)地に対する希望が浮上する度に、これを打ち砕くことに精をだすようになった。ハマスはハマスでヒズボラの旗を打ち振る…パレスチナの旗を認めることはない…。

ナスララとその民兵隊はレバノンのメディアを脅迫し、言論、思想の自由を冒している…彼はレバノン政府を認めず、国家主権を無視し、国法と対外条約に従った国家運営に従わない…。

ナスララとその民兵隊のおかげで、レバノンは完全な国家主権を行使できない。国土の一部、一番危険な境界域がナスララの支配下にあるからだ。ナスララは、レバノン全域を占領するため、その手始めとして南レバノンを手中にしたといってもよい。

ナスララ氏よ、君は(イスラエルに捕まっている)捕虜を解放すると称して、2人のイスラエル兵を拉致した。この冒険主義が如何に高くつくか、君は考えたことがあるのか。レバノン国民に予め意見を求めたのか。観光産業は完全に潰れ、失業者を山ほどつくり出し、企業破産があいついでいる責任をどうとるのか。君の攻撃後国際社会にどのような顔付きでのぞめばよいのか、政府に予め相談したのか。もっとも君は政府をみくびっているけれど…レバノンのインフラは、攻撃によって破壊されている。すべて国民の税金でつくられたものだ。何年も支払ってきた税金が数分で消え去った。君は納税者の許可を事前に得たのか。最後に君は捕虜達に了解を得たのか。刑務所から出すには、ほかの者が多数犠牲にならねばならぬ、他人の血の代償によって出獄したいか、と問うたことがあるのか…」※1。

7月22日. ヒズボラはレバノン社会から遊離し、イランの金で生きる民兵組織

ハサン・ナスララは(ムスリム)共同体に勝利を約束し、この勝利をもたらす奇襲攻撃を約束する…私と同世代の人間で、そのような約束を信じる者は殆んどいない。同じような幻想を見た経験があるからだ。ナセルのアル・タフィルやアル・カヒルミサイル、サッダムの段ボール紙製ミサイル等々。このアラブの指導者達は全員揃いも揃って自己民だけには勝って、その頭上に君臨したが、対外戦争でいつも敗北し、(アラブ)大衆にみじめな思いを、いやという程味わせてきた。大衆は心理的に経済的にそして道義的な面でも、果てしなく回転を続ける迫害、独裁そして腐敗のひき割り器で、粉々に打ち砕かれているのだ…。

まず最初に我々は、イスラエルによるレバノン領からの全面撤収(2000年)が国際社会によって認められた事実を、確認する必要がある。シャバ農場の問題はシリアの政権が仕掛けた罠にすぎない。レバノンを中東紛争にまきこんでおくため、手下のヒズボラに戦闘任務を与えるためである。レバノンの名を借りて、自分とイランの権益に奉仕させるのである。ちなみに後者は、域内パワーどころかグローバルパワーになりたいらしいが…。

ヒズボラにとって失うものは何もない。レバノン社会から遊離した民兵組織で、イランの金で運営する別個の経済を持つ。このため、レバノン国民の苦しみはヒズボラに関係がなく、その苦しみが組織に影響することはない。ヒズボラは国家ではない。国際機関に代表を送っていないし、国際社会の約束事や規範、協定に一切拘束されない。

ヒズボラに金をだしているのはイランの聖職者であるから、我々はこの民兵組織を単なる(出資者の)道具とみなさなければならない。我々は、これを使っているイランを調べる必要がある。イランはヨーロッパの(核開発に関する)提案に対する回答を8月22日まで延期すると言っている。最初からその計算だった。つまり、ヒズボラの攻撃計画は、その背後にいるイランの計画である。中東情勢を悪化させて自国の核開発にかかる国際圧力をかわすと同時に、圧力手段で自分の立場を強くしておこうという魂胆なのである…。

イランの大統領アフマディネジャドは、イスラエル潰滅と地図からの抹消を常日頃から唱え、これを最高目標に掲げている。通常型兵器と都市圏に届く長射程のミサイルを供給しているのは、恐らくこのイランであろう。今回の事件がイランのイスラエル撃滅の一環であるとすれば、中東全体の悲劇となる。犠牲者の数も千人単位にとどまらず、百万単位になってしまうだろう…」※2。

7月26日. アフマディネジャド、ハマスそしてナスララの夢

南リビアに…マスード(’Abdallah bin Mas’ud)という名の苦行僧がいた。弟子も持っていた。ある朝この苦行僧は弟子を集め、「邪教徒の武器がおじけついた=i威力がなくなったの意)夢を見た。それで私はフランス軍の要塞を攻撃する決心をした」と告げた。弟子達はナイフや剣、草刈り鎌を手に師の後に続き、南の首都セブハにある仏軍要塞を攻撃した。仏軍は全員一人残らず殲滅した…。

この種最新版の夢が、アフマディネジャドの夢である。マシュハドにあるイランのテレビ局から流された演説で、イランが核クラブに入るのは、国家の生存闘争に由来すると言った。待ち望むマフディ(救世主、2006年5月5日付 Al-Watan参照)到来の第一ステップになるというのだ。マフディが邪教徒と多神教徒を抹殺する手助け用として、御到来前に核爆弾を製造する必要があるというわけである…。

(アフマディネジャドは)ハマス運動の中に自分を信じてくれる人々を持つ。特にマシアル(Khaled Mash’al)がそうである…待ち望むマフディが到来する…イスラエルと交渉しその国を承認するなど、闘争を汚す必要がどこにあるというわけだ。マシアル氏は、自分が破滅する者のひとりであることに気付いていないのかも知れない。なにしろ御本人はシーア派だから、引張り上げては貰えない。

ハサン・ナスララもこの予言を信じているようだ。イスラエルという国は世界地図に存在せずとか、国際社会を認めない、国連などクソクラエと豪語するからだ。待ち望むマフディは今まさに到来せんとし、イスラエルとスンニ派、キリスト教徒、ドルーズを抹殺し、自分は大シリアにおけるイマムの大守におさまる計算であるが…。

この夢と予言は、まさに狂気の沙汰であり、大量死、外国(軍)との不均衡の戦いしかもたらさない…この狂気にとりつかれたのが指導者だけなら、問題は個人的な病理の問題にとどまる。しかし大衆がそれにひきずりまわされるのが現状である。

サッダム・フセインのクウェート侵略を支持し、アラブの富を全アラブへ公平に分配する約束を信じた大衆は、サッダムの敗北に仰天したのである。しかし彼等は現実を直視しなかった。大衆はアルジャジーラテレビの専門家の分析を信じていた。サッダム・フセインはアメリカに屈辱的大敗北を味わせるといったたわごとを信じたのだ。バクダッドが陥落した時、大衆は厳しい現実に直面したが、直視しなかった。すべての望みをイスラエル潰滅に託し、ナスララ氏が潰滅してくれると至極真面目に信じているのだ…。

いつか大衆は、今までひとつの蜃気楼を見ていたと気付くだろう。しかし大衆は、すぐに新しい指導者の登場を期待するようになる。自分達が探し求めるもの…(別の)幻想を与えてくれる者を…」※3。

※1 2006年7月16日付 Elaph

※2 同22日付 同上

※3 同26日付 同上


 

 

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