メムリ(MEMRI) - 中東報道研究機関 緊急報告シリーズ
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THE MIDDLE EAST MEDIA RESEARCH INSTITUTE

緊急報告シリーズ


 
Special Dispatch Series No 1318 Oct/13/2006

イラク国境に安全保障壁―サウジアラビアが建設着手へ

最近サウジアラビアは、対テロ戦争の一環として、814キロに及ぶ安全保障壁をイラク国境沿いに建設する、と発表した。完成まで数年を要する工事であるが、軍基地、チェックポイントを組込んだプロジェクトである。これまでサウジアラビアは、イラク国境沿いに40ヶ所ほどの基地を有し、麻薬や武器の密輸、氏名手配中のテロリストの侵入、非合法移民の流入を防止しようとしてきた※1。

サウジアラビアは2004年にもイエーメン国境沿いに分離壁の構築を始めた経緯がある。2000年にジェッダ国境協定がサウジとイエーメンの間に成立し、サウジはそれに規定される境界線に沿って、分離壁をつくったのである。以下、サウジが計画中の安全保障壁建設計画の概要である。

サウジはイラク内戦の波及を恐れる―サウジ側スポークスマン言明

 サウジの内務次官アブド・アル・アジズ(Prince Ahmad bin ‘Abd Al-‘Aziz)は閣僚会議で、「サウジとイラクの両内務相は(協力して)国境の治安を守ることで理解に達した」と述べ、「サウジアラビアは、分離壁の建設に着手する…これによってしっかりした国境の安全保障が可能となる」と言った※2。

内務次官は壁の詳細について触れることを避けたが、「赤外線カメラ付きの有刺鉄線フェンスであって、壁ではない」と強調した※3。

ワシントンのサウジ大使館広報官アル・ジュベイル(Nail Al−Jubeir)は、「我々は、イラク内戦がサウジアラビアに波及し、全域にひろがることを恐れている。我々は、(内戦に関与する)人間がサウジアラビアを狙わないようにしたい」と述べ、サウジの安全保障壁建設の意図を説明した※4。

安全保障壁はバリヤーと軍事基地の組み合わせ―サウジ軍事コンサルタントの説明

研究機関「国家安全保障評価計画」(The National Security Assessment Project)の所長オバイド(Nawaf ‘Obaid)は、「この安全保障壁は全長約900キロメートルで、サウジアラビアは建設に向けて必要な措置を既にとり始めた。この壁の建設は、一連の安全保障対策の一環である…サウジの北方境界安全保障計画によると、この壁に沿って軍基地もつくられる」と述べ、「建設には120億ドルを要する。そのうち5億ドルが壁の建設費用である…建設は来年から開始され、完成まで5ないし6年を要する」とつけ加えた※5。

イラクの治安情勢は周辺諸国の安全に直結

2006年9月中旬、イラクを含む中東8ヶ国(サウジ、ヨルダン、イラン、バハレーン、トルコ、クエート、エジプト)の内務省代表がジェッダに集まり、3日間かけて話合いをおこなった。主要議題は、国境の治安、侵入者や密輸の防止問題を含む、対テロ・犯罪戦争であった。参加者達は、「テロリズム、テロに対する資金援助、イラク国境を股にかけた侵入など、イラクを不安定にしている治安侵害」の防止について討議した※6。

サウジの内務次官アル・サーレム(Dr. Ahmad Al-Salem)は、この会議の開会式で次のように述べた。

「今日我々イスラム共同体にとって、最大の脅威はテロリズムである。我々ムスリムは、実際はテロの犠牲者で、どこの誰よりも苦しんでいるのに、テロの元凶として頻繁に非難される。ムスリムを自称する者共が、恐るべきテロ攻撃を実行する。これくらい我々(の心)を傷つけるものはない。我々の敵は、我々が持つ一神教の信仰を傷つけそのイメージを歪めるために、テロリズムを使う。テロリズムとイスラムには関係がないことなど、誰でも知っているのだ…ムスリムがムスリム同胞に対して銃を向けるなど考えられようか…。

イラクの治安は、隣接諸国の安全と組みあっており、善かれ悪しかれ影響を及ぼす。サウジアラビアは、イラクと数多くの国境通過点を有するので、国境侵犯や密輸の防止、或いはイラクでひどくなったテロ行為の波及防止やテロリストの封じこめのため、国境警備の強化につとめている」※7。

閉会にあたってだされた声明は、参加諸国の緊密な協力の必要性を強調し、

「参加諸国は、対テロ戦争上必要な情報を共有し…国境警備、浸透防止のための監視と警備により多くの資金、協力を注入し、偽造旅券(の使用)やイラクからの或いは同国へのテロリスト浸透や密輸を防止するため、協力する必要がある」とした。

更に参加諸国はテログループを潰滅する必要性を認め、

「テログループは、イラクのみならずこの地域のすべての国の安全に脅威を及ぼしている。この文脈からイラクとその隣接諸国は協力関係を強化する必要がある」と強調し、参加諸国は「ひとつにまとまり安全にして安定した統一イラク」を支持するという言葉で結んだ※8。

※1 2006年10月5日付 Al-Sharq Al-Awsat(ロンドン)

※2 同上

※3 2006年10月4日付 ‘Okaz(サウジ)

 同日付Al-Iqtisadiyya(同)

※4 2006年9月3日付 Al-Awsat(サウジ)

※5 2006年9月28日付 

 http://arabic.cnn.com/2006/middle_east/9/28/saudi.fence/index.html

※6 2006年9月18日付 ‘Okaz

※7 2006年9月15日付 Al-Yawm(サウジ)

※8 2006年9月19日付 Al-Jazeera(サウジ)


 

 

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